犬の歯の病気と治療 治療事例

歯周病(重度)

重度歯周病(動揺度3/3)歯周再生療法

写真は重度歯周病を患った子の上顎の前歯(切歯)です。

歯肉は退縮し、色も暗赤色に変色しているのが分かります。

このケースでは全ての前歯(6本)が動揺度3(グラグラ)。歯を支えるはずの顎の骨が80%も溶けてしまっていました。

本来であれば抜歯を選択することが多い状態ではありますが、この子は3才であり、飼い主様は徹底的に歯を残したいというご希望があったため、歯肉を切開し、歯茎の中のプラークや歯石を徹底的にきれいにした上で再生療法を実施しました。(骨は水平性骨欠損という、再生治療に不利な状態であったため本来再生療法は非適応の状態ではありましたが、飼い主様ご納得の上チャレンジしました)

半年後の確認時には、Xrayで分かるほどの十分な骨の再生は認められませんでしたが、歯周組織のコンディションの改善により、動揺度は1(わずかに動く程度)まで減少しました。

これは再生療法がすごいという意味ではなく、治療とケアの二つともが十分達成された結果だったと考えています。この子の飼い主様は通常の歯ブラシ、歯周病用ブラシ、歯間ブラシを使用しての歯ブラシを毎日実施されていました。

歯周病は歯があれば360度どこからでも始まるため、歯の全周を磨く必要があります。またこれほど重度に進行した歯周病の歯を保存したいのであれば、半年から1年に1回麻酔をかけてのメインテナンスが必要です。

歯ブラシはできない、麻酔はかけたく無い、いろんな事情はあるかと思いますが、「できない」「できない」では歯を衛生的に残してあげることは不可能です。

全てを徹底して行うのか、どこに妥協点を置くのかは各飼い主様の考えによります。

治療を受ける子とそのご家族にとってのゴールを決定し、そこを目指して最善の方法を一緒に考えましょう!