犬の歯の病気と治療 治療事例

歯周組織再生療法

歯周組織再生療法一番の使い所

当院では中等度〜重度歯周病の子には歯周組織再生療法をお勧めする場合があります。

この子は半年前に歯周基本治療を行いましたが、犬歯の内側(口蓋側)のプロービング値の改善が認められませんでした。(PPD 9mm)

このままの状態でも、歯ブラシだけでプラークコントロール(歯ブラシ)が上手にできれば問題ない可能性もあるのですが、現実的にはワンちゃんの犬歯の内側を上手に十分に歯ブラシするのは難しいですし、ポケットが9mmもある状態ではいくら頑張っても歯ブラシの毛先がポケット内に十分届かず不十分なプラークコントロールになる可能性が高いです。

そう言ったケースでは歯周組織再生療法をご提案します。

まず歯茎を切ります。

歯茎の中をマイクロスコープで確認し、歯と骨の間にある不良な組織を可及的に取り除きます。

この時、歯の根っこについた汚れもしっかり取り除く必要があります。

この子の場合は半年前にペリオスコピーを用いて歯の根っこの部分のお掃除を行っていたため、半年経っていましたが汚れは見当たりませんでした。

写真で歯と骨の間にぽっかりスペースがあることが見ていただけるかと思います。

このスペースに再生材料(リグロス)を注入します。その後骨補填剤もこのスペースに入れます。

再生材料を入れ終えたら歯茎を引き寄せる縫い方をしておしまいです。

上顎犬歯の内側はこの子のように見た目がきれいでも重症化しているケースが多いので注意が必要です。

この部分の歯周組織再生療法は良い成績が出しやすい部位なので、歯を温存したい場合は積極的に行うと良いと考えます。

術後3週間目