犬の歯の病気と治療 治療事例

欠歯・埋伏歯・含歯性嚢胞

含歯性嚢胞(顎の骨を溶かします)

含歯性嚢胞とは、本来歯茎の外に顔を出していなければならない歯が、歯茎の下に埋もれたままとなってしまい、

その埋もれている歯の出す物質により骨が圧迫され吸収(溶けて)してしまう病気です。

鼻の短い子によく起こるトラブルです。(パグ、フレブル、ボストン、チワワなど)

 

下の写真の子はチワワですが、下顎の犬歯(牙)が見当たらず、その部分が腫れている事が確認できます。

 

腫れている部分をメスで切開してみると、写真のように液体が吹き出して来ます。

さらに切開を進めていくと埋もれていた歯が見えて来ます。

埋もれていた歯の全容が見えて来ました。

埋もれていた歯を抜歯します。このままこの位置に歯があるとさらに顎の骨が溶けて折れてしまったり、前後の歯にも悪影響を及ぼし、最悪顎を大きく切除する必要が出てくるからです。

抜いた歯です。

歯を抜いた後をよくみるとピンク色をした柔らかい組織があります。これを取り残すと再発する可能性が高くなるため、マイクロスコープで見ながら徹底的に取り除きます。

取る前

取り除いている最中

取り除いた後

すでに顎の骨が大きく溶かされ、骨が非常に薄い状態であったため、骨補填剤と呼ばれる骨の再生を促す物質を詰め込みました。この後歯茎を縫っておしまいです。

歯の本数が見た目上少ない場合は、生まれつき歯が作られなかった(先天性欠歯)場合と、歯周病で失われた可能性と、この子のように実は歯が埋もれて存在している(埋伏歯)可能性があり、そのいずれであるのかの診断にはXrayなどの検査が必要です。

歯が少ないことに気づかないでいると大変なことになる場合もありますので、ご注意下さい。