犬の歯の病気と治療 治療事例

歯周病(重度)

重度歯周病(根分岐部病変)非歯周再生療法

このXray写真は右下の奥歯が重度歯周病に罹患している所を写したものです。

1年前と1年後を比較して見ていただくと、歯が2つに枝分かれしている又の部分の骨が1年後に再生していることが分かるかと思います。

当院では再生療法を取り入れており、歯周病で顎の骨が溶けていると、何でもかんでも再生療法に頼りたくなる気持ちもあるのですが、それが全てでは無いよというのがこの写真です。

このケースのように根分岐部病変3度(又の下の骨が完全に溶けてしまっていて手前から奥まで骨が全く無く、器具を通せば奥まで貫通してしまう状態)では、再生材料を入れても再生する見込みは非常に低いため、費用対効果を考えると再生材料の適応外とされる状態です。(再生材料は非常に高価)

そこで再生材料を使わないまでも徹底的な歯茎の下の清掃(マイクロスコープやペリオスコピーを使用することが望まれる)を行うことで治療効果を得られないかと思いこの子の治療に取り組みました。

根分岐部病変があると、歯茎の下は非常に清掃がしづらく、不十分な清掃に終わることが多いと文献で報告されているため、細心の注意を払ってこの歯の治療に取り組みました。その結果が最初のXray写真です。

この子は全体に重度の歯周病で、命と顎の骨を守るため、42本中33本の歯を抜かせていただきましたが、機能歯である上顎第四前臼歯、下顎第一後臼歯(一番上のXray写真の歯)や上下犬歯など、生きていく上であると便利な歯は残すことができました。

歯の重要度には差がありますので、重要度の高い歯は極力温存できるように様々な技術を駆使して治療にあたります。