歯肉口内炎(尾側口内炎)
歯肉口内炎の治療
歯肉口内炎の治療として全ての歯の抜歯を行った症例です。
猫の歯肉口内炎は残念ながら抜歯以外に有効な治療選択肢が無いことも多い疾患です。
「歯を抜きたく無い」と決めて内科療法を続けていると、いたずらに本人が痛い思いをする期間を伸ばすだけになってしまったり、「いよいよ抜歯をするか」と決めた頃には歯と骨が癒着して(アンキローシス)、抜歯することが困難になり、手術時間が延びることで、本人に負荷を増やしてしまうことに繋がる恐れのある病気です。
特にステロイドでの内科療法を続けていると、糖尿病や肝臓病になってしまい、麻酔リスクを高めたり、糖尿病の管理のために毎日インスリンを打たなければならなくなったりして、飼い主さんが非常に大変な思いをすることになってしまうこともあります。
歯科を専門分野としている自分としては『抜歯』を選択するのは非常につらい決断で、なんとか抜歯以外でなんとかならないのかと、無力感を感じる病気です。いつも歯には「この子がご飯を痛みなく食べられるようになるためなんです。ごめんなさい」と思いながら一本一本抜歯させていただいています。
治療時:歯茎は赤く、少し触れるだけでも至る所から出血を起こしています。特に喉の辺りは酷くただれてしまっていて、食事を飲み込むのもつらいことが予想されます。慢性的な炎症のせいで貧血とGlobの上昇も認めました。
手術後1週間:まだ歯茎は赤い部分が多い
手術後6ヶ月(貧血もグロブリン値も改善):喉の奥に炎症がやや残っているが食欲は旺盛で、よだれも出ず、痛そうなそぶり無し。歯茎の赤みは引いてきていて薄ピンク色をしている。