猫の歯の病気と治療 治療事例

吸収病巣

吸収病巣・猫

吸収病巣は歯に穴が開くため、一見、人の虫歯に似ているように見えますが、虫歯はミュータンス菌と呼ばれる細菌が悪さをする病気、 猫の吸収病巣は、虫歯菌ではなく破歯細胞が自身の歯を壊していくことで起こる病気のため、全く違う病気です。

写真の歯が赤くなっている部分が吸収病巣です。この子は左右対照に下の歯に起こり、このわずかな病変が痛いがためにご飯の食べが悪くなっていました。

発生頻度:3歳以上の猫の25−75%は一生のうちのどこかで 吸収病巣が起こるという報告がある。犬でも猫ほどではないが時折認められる。

症状:口が痛そう、顔をこする、食事を食べづらそう、前足がよだれで濡れている、歯ブラシを嫌がるようになった、 初期には歯と歯肉の境目の歯肉がわずかに赤く盛り上がる(わずかな変化なので見逃されている事がものすごく多い)、やがて小さな穴が開き、進行すると徐々に歯が崩壊していきます。 歯に穴が空いている、歯が赤い(ピンク色をした肉芽組織で覆われる)

原因:解明されていない。歯周病の影響、噛み合わせの影響、硬いものを噛む、 ビタミンDの過剰摂取などが考えられています。

治療:歯冠切除術、抜歯術

歯の吸収を止める術が分かっていないため、現時点では痛みの原因になる歯の、歯冠切除や抜歯しか治療選択肢がありません。ごく軽度であれば経過観察とする場合はあります。 過去、穴を塞ぐ方法を試された例はあるのですが、原因が止められない以上、穴を塞いでも塞いでもどんどん穴が広がっていくので、結局歯が崩壊してしまうし、痛みも再発してしまいます。 ですので現状痛みの原因になってしまう歯を取り除く事しか治療法は無いと考えられています。 歯冠切除術と抜歯術のどちらをどういう状況で選択するかは、専門的な話になり過ぎてしまうため、ここでは割愛させていただきます。