歯ブラシの頻度は?
当院を初めて受診される飼い主様に、
「歯ブラシはどれぐらいの頻度でされていますか?」と伺うと、
「ほとんど磨いたことがありません」
「週に1回ぐらいです」
「3日に1回は磨きます」
「もちろん毎日磨きます」
など、様々な回答が返ってきます。
最近増えてきているなという印象を持つのが、
「トリミングサロンさんでお願いして、月に1回は磨いてもらっています」
という回答です。
歯をプロに磨いてもらおうと考えて行動されているわけなので、素晴らしい取り組みだと思います。
ただ、その頻度で良いのかには疑問があります。おそらく連れて行っている飼い主さん自身も頻度に関しては自信を持てないでいる部分はあると思います。
答えを言ってしまうと、歯ブラシの本来必要な頻度は「毎日」です。
大変なことだと思います。だからなんとか歯ブラシしないで済まないかと考える飼い主様の間で、歯磨きガムや歯に良いと謳われて売られている骨やヒズメ、歯石が取れるというジェルやスプレーが売れているのだとは思います。
しかしそれらでは歯ブラシと同じ効果は得られません。雲泥の差です。だから人間では歯ブラシを毎日2-3回するのです。歯ブラシの代わりに歯磨きガムを噛んでいる人間はいないと思います。
犬猫は人間よりも歯周病になりやすい特性を持っている。にもかかわらず人間ほどは歯ブラシをしてもらえない。これで管理ができるわけはありません。
「トリミングサロンで月に1回歯ブラシしてもらっていたのにこんなに歯がグラグラになってしまった」
こういう訴えをよく聞くのですが、上記を考えていただければ当たり前ですよね。月に1回で大丈夫な訳がありません。プロが磨くかどうかに関わらず、月に1回ではどうしようもないのです。
ですから選択肢としては
・毎日家で歯ブラシする
・毎日は無理でも3日に1回程度は歯ブラシする
・3-7日に1回トリミングサロンなど、プロに歯ブラシしてもらう
・歯ブラシは無理なので6-12ヶ月に1回麻酔をかけて病院で管理する
この辺りでしょうか。いずれの選択をしたとしても必ず歯を生涯温存できるとは限りませんが、飼い主様とその子に合った選択肢を模索していくしかありません。
また、どれぐらい歯ブラシができているかに関わらず、年に1回前後の麻酔をかけての歯の検査とメインテナンスは推奨されます。
できれば毎日1本ずつでも良いから歯ブラシをする習慣をつけていただくと、やがては1日に磨ける本数が増えていくので、歯磨きガムを噛んだり、歯石が取れると謳っているジェルなどよりも、歯周病予防効果は高くなると考えます。
まずは1日1本から始めましょう!(もっと詳しい歯ブラシの導入方法や歯ブラシの選び方、歯1つ1つの細かい磨き方などは『歯ブラシ外来』を受診ください)