歯のブログ

安全に麻酔を行うために②(術中管理へのこだわり)

麻酔を安全に行うためにはしっかりとした術中管理が非常に大切です。

どんな管理を行えば「しっかりした術中管理」と言えるでしょう?

 

私の考える「しっかりした術中管理」は

①モニタリングをしっかり行うこと

・心電図モニタ

・血圧モニタ

・呼気中二酸化炭素モニタ

・動脈血中酸素飽和度モニタ

・体温モニタ

・麻酔濃度モニタ

・脈拍モニタ 等

②体温維持のための保温機を使用すること(体温が下がることで様々な弊害が出るため)

③呼吸管理のために人工呼吸器を備えておくこと(必須ではないがあると安心)

④麻酔中の様々な状況に対応できるような薬剤・それを流すための機材を備えていること

⑤特に歯科で重要と考えているのが、気管を損傷しないための柔軟性のある気管チューブの使用

上下の写真を見比べていただくと分かるかと思いますが、青色のチューブは非常に柔軟性に富んでいます。

歯科手術では頭部を様々な角度に変えて処置する事があるため、硬い気管チューブで手術を行っていると、頭部の位置を細かく変える際に気管を傷つけて術後に重大な合併症を起こす危険性があります。

2つの気管チューブの価格は4.5倍も違うため、非常にコストはかかってしまいますが、安全には変えられないため、当院では青色の柔軟性に富む気管チューブで歯科手術を行っています。

 

⑥痛み管理のために局所麻酔を行う(神経ブロック等)

麻酔の管理は1剤で行うのではなく、複数の麻酔薬・鎮痛薬を併用することで(マルチモーダル麻酔)、害の起こりやすい薬の量を減らし、安全に、痛みの少ない手術を実施します。

 

安全に麻酔を行うには、様々な『知識、技術、医療機器、薬剤』が必要です。

これらを常にアップデートして、今できるベストの麻酔でその子を安全に痛みなく麻酔から覚ましてあげられるよう努めております。