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一般社団法人 日本獣医歯科学会設立
2025.4.1に一般社団法人 日本獣医歯科学会を代表理事として設立しました。
本学会が獣医師や愛玩動物看護師、その他獣医療関係にとって獣医歯科学を学ぶ基盤となることを願っています。
この度ホームページも開設しましたのでぜひご覧いただけますと幸いです。
➡️https://www.j-vetdent.jp/information/
「犬猫は歯が無くても物を食べられるから悪い歯は抜歯しても問題無い」、これが今まで言われてきた獣医歯科学の定説です。
これは、命を守る、顎の骨折を回避する、麻酔をかける回数を減らすという点においては完全に正しく、
最悪の状態からの回避や麻酔リスクを遠ざける意味で有益な考え方です。
しかし一方で、当たり前ですが歯は意味があって生えています。
つまり抜けば抜いただけ機能は損なわれます。
これはイコール動物の生活の質を落とすことにつながります。
「顎の骨折を回避したいから」と、早々に全ての歯を抜歯するようなことがあれば、オモチャで快適に遊ぶことも、好きな食べ物を割いて食べることもできません。また顔つきも変わり、舌が出たままになってしまったり、唇が口の内側に巻き込まれて毛が口に入ることで常に不快な思いを強いることにもつながりかねません。
そのため保存と抜歯のバランスがとても大切で、どこまでならそれぞれのメリットデメリットを受け入れられるか、それは患者のメリットデメリットだけでなく、ご家族にとってのメリットデメリットも考えなければなりません。
この判断は保存と抜歯それぞれを行った場合の長期的な見通しを知らなければ判断できませんし、これは歯周病や破折といった歯科疾患に対する知識だけでなく、噛み合わせに対する知識など、幅広い口腔内に対する知識がなければ、真の意味で患者とそのご家族にとってどの治療選択肢が有益になるのかを判断できないと考えています。
こういった知識を会員の先生方と共有しながら獣医歯科学を盛り上げていけたらと考えています。
私が蓄積した情報を講演などで多くの先生方にお伝えし、より多くの動物が救われているのも、当院を受診してくださる皆様のご協力のおかげです。いつもありがとうございます。